奇しくもメーカーも小売も共に生き残るための中からパートナーシップの確立という発想が生まれた。これまで分断されていた部門間のパートナーシップも発揮されるようなる。こうしてこれまではメーカーの営業部門と小売の仕入れ部門という限られた範囲内での情報の共有化でしかなかったものが、QRSの確立によって両者間のトップから経理部門の聞にもパートナーシップがみられるようになった。さらにパートナーシップを支えるために情報システムを活用したEDIも統一されたコードにより、双方が戦略立案することも容易となる。すなわちQRsによれば、顧客情報を正確に、低コストで入手すること、そして小売はどのスタイルのどの商品が一日にどの店でどれくらい売れるのか。さらに顧客管理が重視される小売ではこれに加えて、どの商品がどういう顧客に、なぜ売れなかったのか、という情報の入手が可能となる。さらに定番品中心の店であるならQRSによる売れ筋の追加生産体制の構築による欠品、在庫の縮少、商品回転率の向上が図れ、商品寿命が1シーズンを基本とする店については次のシーズンの商品政策の正確性向上を回るための情報収集体制の整備など共同戦略の構築もできる。
八〇年代半ば、香港で、ジミー・ライに出会う。彼はカジュアル専門店チェーンショルダーノ」を創業し、巨万の富を築いた伝説の人。ジミー・ライ自身、以前はアメリカの専門店チェーン「リミテッド」の生産を請負っていた人だ。その経験から自分も日本で同じことできると考えたのがユニクロの始めのようである。父親から会社を引継ぎ、最初に「ユニクこという名でカジュアルウェア小売業へ進出しだのは一九八四年であった。広島市にオープンした後、次第と拡大し直営店とフランチャイズ店合せて五〇店舗体制ができたのが、一九九二年というから、八年たらずでチェーン化のメドができたのだ。一九九四年にはデザイン・情報収集機能を強化するためニューヨーク市にデザイン会社を設立する。まさに、グローバルネットワークの構築が開始された。
カジュアルとそうでない服装は、自由の中での自由と、不自由の中での自由の差でもある。前者は何を着てもよいという前提があり、その中でさらに自分が楽しむ衣類をとなれば、選択肢の数は無限に広がる。厄介なのである。後者はスーツスタイルという不自由な限定が先に存在し、その中で自由な楽しみを求めればよいのだ。前者より、よほど楽である。とはいえ、それでも日本のサラリーマンは、スーツ選びに苦労している。エブリデイカジュアルになれば、もっと苦労し、費用もかかる。カジュアルな服装にのめり込み、本気で楽しもうとすれば、スーツスタイルより、ずっと割高になる。日本のカジュアルウェアが高すぎるからだ。例えば輸入物の上質なセーターであれば10万はする。それにコーディネイトするフランネルのパンツが3万、シャツが2万。そこそこのスーツスタイルを、上から下まで賄える金額だ。毎日着ていくわけにもいかず、週に数回取り替える。そのたびにまたコーディネイトに頭を悩ます。スーツスタイルであれば、ネクタイだけでごまかせる。