私が最初にフェラーリの工場に行ったのは1998年頃で、テクニカル・ディレクターのフェラーリ改革真っ際中でした。そのとき驚いたことがあります。車の心臓部ともいえるエンジンは当然、熟練工が担当していると思っていたら、主婦が組み立てていたのです。熟練工による勘と経験に頼ったエンジン作りから、パートタイマーが組み立てても同じ品質のものが作れるシステムを目指していたのです。たとえばネジを締める工程では、熟練工が経験と勘で作業をするため、締まり具合に個人差によるバラツキが出てしまいます。
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それが「フェラーリは速いけれど、一触即発で何か起こるかわからない車」といわれるひとつの要因であり、まずはこの状況を打破しないことにはチームとして強くなれないと、テクニカル・ディレクターは改革を断行しました。そこでネジを締める力が制御できるレンチを使って均質なエンジンをつくることを目指しました。